泣き声にイライラした夜、私を救ってくれたたった一言

育児

1. あの夜、私は限界だった

子どもが生まれてから、何度も「イライラしちゃいけない」って思ってきました。

それでも、ある夜の泣き声に、私はどうしようもなく感情が溢れてしまって。

そのときのこと、そして私の心を救ってくれた“たった一言”の話を、今日は書いていこうと思います。

その夜のことを今でもはっきり覚えています。

時計の針はもう深夜をまわっていて、リビングの明かりだけがぼんやりついている。

部屋は静かなのに、赤ちゃんの泣き声だけが響いていて、私はずっと抱っこしたまま、立ったまま、ゆらゆら揺れていました。

寝てくれない。

おっぱいも飲まない。

オムツも替えたばかり。

なにしても泣き止まない。

「なんで…泣いてるの?」って、頭の中で何度も問いかけながら、気づいたら目から涙が出ていました。

本当は、赤ちゃんに怒ってるわけじゃないんです。

ただ、寝不足と疲れと、どうしようもなさと、自分の無力さにイライラしてたんだと思います。

2. 「いいお母さん」になりたかったのに

私は、妊娠中から「優しくてあったかいお母さんになりたい」と思っていました。

子どもが泣いたら、まずは抱きしめてあげよう。

どんなに大変でも、怒鳴ったりしないようにしよう。

そんな風に心に決めていたんです。

でも、実際は違っていました。

寝不足が続いて、心に余裕がなくなると、優しさよりもイライラのほうが先に出てきてしまって。

「なんで寝てくれないの?」「もう勘弁してよ…」って、小さな声で呟くようになって。

赤ちゃんを見ながら、涙が止まらなくなる日も増えていきました。

理想と現実のギャップに苦しくなって、

「私、母親に向いてないのかも」って思ってしまう自分がいて。

そのたびに、自己嫌悪のループに落ちていく感じでした。

3. 優しい言葉ほど、刺さる夜がある

ある日、SNSで「赤ちゃんの泣き声は“生きてるよ”っていうサインだよ」っていう言葉を見つけたんです。

本当はすごく優しい言葉のはずなんですよね。

でも、そのときの私は、それを見た瞬間に涙が溢れてきました。

「そんなのわかってるよ…でも、こっちも限界なんだよ…」

そう思って、スマホを投げ出してしまいました。

本当は慰めてほしかったのに、

「それが母親だよね」って押し付けられてる気がして。

優しい言葉ですら、しんどく感じるときがあるんですよね。

このとき私は「もう何言われてもムリ」っていう心の状態になっていました。

でも、それでも“ある一言”だけは、なぜか私の中にすっと入ってきたんです。

4. 「つらいよね、よく頑張ってるね」

それは、いつものように泣き止まない子どもを抱っこしながら、

もうどうしていいかわからなくなっていた夜のことでした。

寝室のドアの前に立っていたパートナーが、

小さな声でこう言ったんです。

「つらいよね、よく頑張ってるね」

その一言を聞いた瞬間、肩の力が抜けて、全身から涙があふれてきました。

何がどうって説明できないけど、

“わかってもらえた”っていう感覚が、心を一気に溶かしたんです。

アドバイスでもなければ、励ましでもない。

ただただ、気持ちを受け止めてくれる言葉でした。

それまで、誰かに「頑張ってるね」って言ってもらったことがなかったんです。

“母親なんだからできて当然”って空気の中で、

頑張ってる自分を、誰にも認めてもらえなくて。

自分でも「まだ足りない」って責めてばかりで。

でも、その一言があるだけで、心がふっと軽くなりました。

5. 誰かに共感されるって、こんなに救われるんだ

そのとき感じたのは、「共感されることの力」でした。

アドバイスよりも、

「〇〇したら楽になるよ」っていう情報よりも、

まずは「大変だよね」って言ってもらえることのほうが、何倍も嬉しかったです。

私が求めてたのは“解決”じゃなくて“理解”だったんですよね。

夜中に赤ちゃんが泣いて、こっちが泣きたいくらいなのに、

「母親なんだから」「育児ってそういうもんだよ」って片付けられたら、

心の逃げ場なんてなくなってしまいます。

そんなときに、「そりゃしんどいよね」って言ってもらえるだけで、

「私だけじゃないんだ」って思える。

それだけで、立ち直れることもあるんですよね。

6. あの一言がくれた、育児への向き合い方の変化

それから私は、少しずつ自分へのハードルを下げるように意識しました。

“いつも優しいママ”じゃなくてもいい。

“完璧にこなすママ”じゃなくてもいい。

“ちゃんと寝かしつけられない日があっても大丈夫”

そうやって、自分にOKを出していくことで、

気持ちがラクになっていったんです。

パートナーにも、「私、こういうときが一番しんどいから、そばにいてくれるだけで助かるよ」って伝えました。

そしたら、以前よりもタイミングよく声をかけてくれるようになったり、

抱っこを代わってくれたりすることが増えていって。

“母親”だからって一人で抱えなくていいんですよね。

“頑張ってるね”って言われて、やっとそのことに気づけました。

7. 「ママだって人間なんだからさ」

あの夜から数日後、

また寝かしつけがうまくいかずにイライラしていたとき、

私はふと、自分で自分に言い聞かせるようにつぶやいていました。

「ママだって人間なんだからさ、イライラしても仕方ないよね」

この言葉、以前の私だったら絶対に出てこなかったと思います。

“母親はこうあるべき”という理想像に、自分を合わせようとしてばかりで、

「子どもにイライラするなんて、私は母親失格だ」と責め続けていました。

でもあの一言のおかげで、

自分の感情を認められるようになってきたんです。

泣き止まない赤ちゃんにイライラしてしまうのは、

愛していないからじゃない。

ただただ、自分がいっぱいいっぱいだから。

それを否定せずに「そうだよね、今つらいよね」って、

まずは自分が自分を受け止めてあげることができたとき、

育児に対する見え方が変わってきました。

8. 「私はちゃんとやってる」って、自分で思えるようになるまで

それからの私は、「ちゃんとやってる」って、自分に言ってあげることを意識するようになりました。

赤ちゃんが寝なくても、

離乳食を全然食べてくれなくても、

ずっと抱っこで何もできなくても、

「それでも私は、ちゃんとやってる」

毎日寝不足でフラフラしながら、

抱っこし続けて、何度も泣きそうになって、

それでも投げ出さずにやってる自分を、

少しずつ認めてあげられるようになってきました。

他人から見たら、特別なことなんてしていないかもしれないけど、

私にとっては、どれもものすごく頑張ってること。

その気持ちに気づいてから、

自分を責める時間が減って、代わりに「ありがとう」って言える時間が増えました。

子どもに「生まれてきてくれてありがとう」

パートナーに「一言で救ってくれてありがとう」

そして自分に「よく頑張ってるね、えらいよ」って。

9. 子どもを優先しすぎて、自分がどこかへ消えていた

赤ちゃんの泣き声にずっと付き合って、

夜中も授乳で何度も起きて、

ごはんもゆっくり食べられなくて、

トイレさえ我慢する日が続いていた頃。

ふと気づいたら、自分が何をしたいのか、何が好きなのか、

ぜんぜん思い出せなくなっていました。

「今日は何食べたい?」って聞かれても、

「なんでもいい」しか言えない。

「これが好き」とか「これが楽しい」とか、

そういう自分の感情にすら鈍感になっていたんです。

育児に必死で、自分を後回しにしてばかりいたから、

どんどん“私”が消えていくような感覚があって、

すごく怖かったのを覚えています。

でも、それでも頑張っていた理由は、

やっぱり「子どものため」でした。

自分のことを犠牲にしてでも、

この子が笑ってくれるならそれでいいって、

どこかで思い込んでいたんですよね。

でも、あるとき気づいたんです。

「私が笑ってないのに、この子が心から笑えるはずがない」って。

10. 「ママの笑顔が好き」って言われて

ある日、少し大きくなった子どもが私に言ったんです。

「ママ、きょうはいっぱいわらってるね。ぼく、ママのえがおがいちばんすき!」

その一言に、心の奥がじんわり温かくなって、

私は泣きそうになりました。

「私が笑っているだけで、この子は嬉しいんだ」

それを聞いたとき、自分の笑顔って、

こんなにも子どもにとって大切なものなんだって、はじめて知りました。

それから私は、少しずつ“自分のための時間”を意識して取るようになりました。

好きなコーヒーを飲む。

子どもが寝た後にちょっとドラマを観る。

美容院に行って、髪を整える。

たったそれだけでも、自分を大事にできた気がして、心がふっと軽くなるんですよね。

“自分を犠牲にすることが愛情”じゃない。

“自分も大切にすることが、本当の意味での育児”なのかもしれません。

11. あの夜、「ありがとう」が言えなかった私へ

あの日、泣き声にイライラしてしまった自分に、

もし今の私が声をかけられるなら、こう言いたいです。

「よく頑張ってるね。今、すごくしんどいけど、それでもあなたはちゃんと向き合ってるよ」って。

イライラするのは、ダメなことじゃない。

むしろ、それだけ真剣に子どもと向き合ってる証拠なんですよね。

あの頃の私は、自分に「ありがとう」って言う余裕もなくて、

毎日、反省ばかりしていました。

でも今なら思えるんです。

イライラしてもいい。泣いてもいい。

ただ、それでも毎日、抱きしめて、おむつを替えて、ご飯を作って、

そんな日々を繰り返していた自分は、十分すぎるくらい頑張ってたって。

12. 育児に“正解”はないけど、“想い”は伝わる

育児をしていると、どうしても“正解”を探してしまいますよね。

「こうすれば泣き止むはず」

「こうやって寝かしつけるべき」

「他のママはできてるのに私は…」

そんな風に、“理想の母親像”に近づこうとして、

無理してしまうこともたくさんあると思います。

でも、実際は子どもって、そんな“完璧なママ”を求めてるわけじゃなくて、

“そのままのママ”が大好きなんですよね。

料理がちょっと焦げても、

寝かしつけに失敗しても、

感情的になってしまっても、

それでもちゃんと愛してくれるママのことを、

子どもは見て、感じて、信じてくれているんだと思います。

だから、自分を責めすぎないでほしいです。

完璧じゃなくても、あなたの“想い”は、必ず子どもに届いてるから。

13. 泣き声の裏側にあるものに、気づけるようになった日

あの夜の泣き声は、私にとって「もう限界!」と感じるものでした。

でも今なら思うんです。

あの泣き声の裏には、「ママ、助けて」「ここにいて」「大好きだよ」っていう

たくさんのメッセージが詰まってたんだなって。

泣き声にイライラするのは、悪いことじゃない。

でも、その奥にある子どもの気持ちに、ちょっとでも想像が届いたとき、

私の中で「イライラ」から「寄り添いたい」に変わっていく瞬間があったんです。

それは、毎日毎日積み重ねてきた、

自分なりの“母親としての時間”があったから気づけたことでした。

14. 今、泣いてる誰かに伝えたい

この文章をここまで読んでくれた方の中には、

今まさに泣き声に耐えている真っ最中の方もいるかもしれません。

眠れてないかもしれない。

ごはんすらゆっくり食べられないかもしれない。

「こんなに頑張ってるのに、なんでうまくいかないの?」って

涙をこらえているかもしれません。

でも、あなたのその頑張りは、ちゃんと子どもに届いています。

言葉にしなくても、笑ってなくても、

ママのあたたかさは、ちゃんと伝わってる。

だから、今イライラしてしまっても、

「私ってダメだな」なんて思わないでください。

その日を生き抜いてるだけで、すごいことなんです。

15. 子どもと一緒に、私も育ってきた

振り返ってみると、子どもが成長したように、

私自身も変わってきました。

最初は何もわからなくて、泣いてばかりで、

感情をぶつけることしかできなかったけど、

子どもと一緒に毎日を過ごす中で、少しずつ少しずつ、

「私なりの子育て」を見つけてこれたように思います。

子どもが初めて歩いた日、

「ママ」って言ってくれた日、

夜に泣かずに寝てくれた日…

その一つひとつが私にとってのご褒美でした。

そして、そんな時間をくれた子どもに、

「ありがとう」って言える日が来たこと、

今は心から幸せだと思えます。

おわりに

「泣き声にイライラした夜、私を救ってくれたたった一言」

それは、夫の言葉でも、SNSの名言でもありませんでした。

ふとした瞬間に、自分の心の中から聞こえてきた、

「よく頑張ってるね」という、優しい“自分の声”でした。

その一言があったから、

私は少しずつ、自分を責めるのをやめられるようになりました。

育児は孤独に感じることもあるけれど、

同じように悩んだり、葛藤したりしている仲間がたくさんいる。

そして、私たちは日々ちゃんと、成長しています。

この文章が、あなたの心を少しでも軽くできたならうれしいです。

今日も本当に、おつかれさまでした。

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